海に沈む国2012年10月21日

地球温暖化の影響で海面が上昇している。その影響で、海抜が低い国は海に沈んでしまうかもしれないと危惧されています。ツバルが有名ですが、モルディブ、ツバルに並んで、キリバスも危険にされされています。

なにせ、空からこの国の首都があるタラワ島を眺めると、こんな感じ。
上空からのタラワ島
細長いですよね。
横幅は100-400m程度。新幹線のプラットホーム(400m)の方が勝ちます。
標高は、最高3m。ゾウといい勝負。キリンでは勝負になりません。

これだけ海抜が低いので、満潮時には、陸地のすれすれまで海水がやってきます。
大潮時の水位
大潮の時には、さらにもう一がんばり。
右にちらっと見えるのは、私の家。あと1m海面が上がったら、床上浸水間違いなし。
「台風や、大きな波が来たらどうなるの?」
ひとたまりもないでしょうね。それは、現地の人たちも分かっています。
でも、ここは赤道直下なので台風はやってきません。大きな波も、珊瑚礁がこの島を守ってくれているので、来たことがありません。

しかし、海面上昇で真っ先に影響を受けるのは、井戸水とされています。井戸に海水が混じり、使えなくなるわけですね。陸地が消えるより先に、井戸がやられるわけです。

海面上昇に備え、この国の政府は、フィジーの土地の一部を購入しています。移住することを考えているわけですね。
でも、私は、この国の人たちが別の場所に移って、生活していくのは難しいと思います。なぜなら、この国の就業率は半分以下。それ以外の人たちは、海で魚を捕って、その魚を食べて生きています。定職には就いていないのです。

キリバスの人たちは、海から離れては生きていけないでしょう。

海から離れても生きていけるよう、ここの人たちに知識や技術を教えるために私たち協力隊員が来ている。その一面もあります。しかし、一人の隊員にそれは荷が重すぎる。。。

じゃあどうれば良いのか、私には答えが見つかりませんが、多くの人に、このような国の現状を知ってもらいたい。そう思っています。

感謝表明inキリバス2012年10月28日

私は、コンピュータ技術の隊員として、このキリバス共和国に派遣され、病院のシステム構築の活動をしています。
「日本からパソコンの技術者が来た」ということで、私の元には、トラブルを抱えたパソコンがよく運ばれてきます。

ある日、年配の看護師さんが、ノートパソコンと段ボール箱を抱えてやって来ました。
どうしたのかと聞くと、パソコンが立ち上がらなくなってしまったとのこと。
診察してみると、OSのトラブル。しかも、かなり根深い。

「OSを再インストールする必要があるけど、いいですか?」
「わかったわ」
「中に何か大切なデータは入っている?」
うん、と頷くので、
「じゃあ、中身を全部バックアップを取った上で、OSを再インストールし、バックアップを戻しますね。データは無くならないから大丈夫ですよ。」
と説明すると、ほっとした様子。

帰り際に、
「これ、お礼にあげるわ。」
と段ボールをごっそり私にくれました。
中を開けてみると、プリンターのインクやトナーがぎっしり。
でも、全部、私が使っているプリンターのメーカーとは別のメーカーのやつ。
(これじゃあ使えないんだよね...)
と思いましたが、せっかくの好意。
「こんなにたくさん、どうもありがとう。」
と言うと、笑顔で帰って行きました。
きっと、自分が使っているメーカーのやつなんだろうな。
でも、限られた給料、限られた予算の中で、こんなにたくさんくれるなんて、かなりのフンパツです。
しかも、物がなかなか手に入らないこの国。
使うことはないだろうけど、好意が嬉しいですね。

別の日、パソコン診療科に、また別の患者が運ばれてきました。
「Excelを起動しようとしても、ファイルを開こうとしても、何をしてもWindows Media Playerが立ち上がって、開けないんです。」
診察してみると、ウイルス感染の様子。ウイルス対策ソフトも入っていません。
「ちょっと待っていて下さいね。」
と少し時間をもらい、元に戻してあげました。ついでに、
「ウイルス対策ソフトが入っていないから、何か無料のものをインストールしておいた方がいいと思うけど、どうする?」
と訊いたら、お願いしますと言われたので、それもインストール。

あくる日、同じ看護師さんがやってきて、
「これ食べて」
と、揚げパン(中身はカレー味の焼きそば)をくれました。
これは嬉しかったですね。おいしくいただきました。

またまた別の日、今度は外付けハードディスクがやってきました。
「これが使えなくなったの」
診てみると、ディスクにエラーがたくさん。振動などでやられたのかな。
一日入院してもらい、一晩かけて修復した上で退院させました。
そして、翌日。HDDを持ってきた看護師さんがやって来て、
「これ食べて」
と、ドーンとトレイに入ったご飯を私にくれました。
お礼の食事
(これはさすがに一人では食べきれないよ...)
まあ、みんなで食べてということなのかな。
パーティーで余った食事のようにも見えましたが、それはきっと目の錯覚でしょう。


人それぞれ、感謝の表現の仕方はいろいろですが、概してこの国の人たちは親切です。
コミュニティが狭く、人と人との結びつきが強いからなのでしょうね。