吾輩は猫である2013年02月02日

吾輩は(キリバス)猫である。
名前はまだ無い。
どこで生れたかとんと見当がつかぬ。
何でも日差しが強烈で埃っぽい所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。
吾輩

吾輩は、生まれてまもなく重度の風邪をひき、必死の思いで病院に来た。
しかし、人間どもには無視されるばかり。
目ヤニと鼻水で、目が見えなくて息もできない。
ここで死ぬのかと覚悟したら、何やら日本人が吾輩をひょいと抱き上げて、苦いモノを無理矢理飲ましたり、目に変なモノを入れたりする。ふざけんなよと思ったが、不思議と病気は治った。
そんなわけで、吾輩はここに居着くことになったのだ。

この日本人、一日に何度か病院の中をうろつき、病気の人間や、彼らを治療をしている人間達の動きをチェックしている。何が面白いのだろう。しかし、コンピューターを使うことだけが、この人の仕事ではないようだ。
Emergency

ある日、吾輩が昼寝をしていると、うるさい音を鳴らした車がやってきた。
中から、人間の小さい女の子が担ぎ出されている。よく見ると、頭が割れて大量の血を流し、脳が完全に外に出ている。
あまりに無残な光景だ。
人間の言葉はよく分からないが、どうやらバスという車にはねられたらしい。
間違いなく即死だったろう。

すると、近くを歩いていたこの日本人が呼ばれ、なにやら写真というものを撮っている。
どうも、この国では、カメラという物や、印刷機という物を持っている人間は限られているようだ。
そして、この日本人、写真を印刷して戻ってくると、それをPoliceという人間に渡していた。

少女のすぐ脇では、母親らしき人間が、泣き叫んでいる。
でもさ、あんたが悪いんだぜ。
子供に注意を払っていないから。子供の躾をしていないから。
子供が7人もいるからだなんて、ただの言い訳だよ。

ここの空はこんなに青くて、日差しが強いのに。
吾輩の心は、しばらくスコールが続いたのだった。

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