ワールドビジネスサテライトinキリバス フォーマル編2014年02月28日

JICAのサイト「世界HOTアングル」に、活動の紹介記事を掲載していただきました。
もしも「キリバス・ビジネス・サテライト」から取材を受けたなら…

前回の記事「ワールドビジネスサテライトinキリバス3/3」と内容は似ていますが、JICAのサイトということで、少し(かなり?)フォーマルな表現にしています。

ワールドビジネスサテライトinキリバス3/32013年12月08日

■トレンドたまご
今日のトレンドたまごは、日本でも普及が進んでいる電子カルテです。
電子カルテ利用風景(診察室)

青年海外協力隊員が作り、今月から中央病院で本格運用をスタートさせました。

大谷アナ : なぜ、キリバスで電子カルテを?

中央病院のカルテ室

協力隊員 : この紙カルテの山をどうにかしたいという同僚からの要望がきっかけです。
大谷 : この中からカルテを取り出せるのですか?
隊員 : いえ、出てこないことが多いです。5分位探して、出てきたら拍手。出てこなかったら「まあ、いつものことか」です。
大谷 : 広島カープのファンと似たような気持ちですね。
隊員 : もっと勝率が悪いですけどね。だから、診察はいつも、「今日はどうしたの? この前、薬は何をあげたっけ?」 こんな調子です。
大谷 : 患者さんもかわいそうですね。
隊員 : そこで、電子カルテに入力しておけば、紛失することがないし、いつでも好きなときに見られるというわけです。

外来診察室

電子カルテ導入現場(歯科)

大谷 :なるほど。ただ、パソコンがたくさん必要になりますよね。
隊員 : そこで、協力隊OBが主催しているNGO Class for Everyoneさんから、企業で不要になった中古PCを20台弱、日本から寄贈していただきました。

日本から寄贈していただいた中古PC

大谷 : この紙カルテの山はどうするのですか?
隊員 : スキャナーで取り込んで、電子カルテ上で見られるようにします。そのためのスキャナーも、すぐに買ってくれました。これには、びっくりしました。電源タップすらなかなか買ってくれないのに。

外来受付と購入したスキャナー

大谷 : きっと、パチンコで頑張ったのでしょうね。
隊員 : しかも、プリンターも4台買ってくれました。パチプロがいるのかもしれません。

購入してくれたプリンター

大谷 : 今後の計画は?
隊員 : 離島の病院とも、インターネットの専用回線でつなぎ、どの病院からでも同じ電子カルテを使ってもらう予定です。患者情報の共有が目的です。そのために、インターネット用衛星回線を離島に設置してくれました。
大谷 : 相当頑張ってくれていますね。
隊員 : それだけ期待が大きいですが、残り任期も、その期待に応えられるように精一杯頑張ります。



■マーケット情報 (AU$1.00=約100円)
○米相場
1袋(18kg) = AU$21.20  前週比$0.30安
深刻な米不足は解消した模様

○魚市場
カツオ AU$1.70/kg  前週比$0.10高


提供 : 国際協力機構, 外務省

ワールドビジネスサテライトinキリバス1/32013年11月20日

■トップニュース
○キリバスは海に沈むのか?
キリバスの高校生達による英語ディベート大会が国会議事堂で開催された。
ディベート会場(国会議事堂)
テーマは地球温暖化。キリバスは、珊瑚礁で形成された32の環礁島から構成さ
れている。海抜は低く、標高は1-2m程。ツバルやモルディブと同様、温暖化に
よる海面上昇で、将来海に沈んでしまうと危惧されている。実際、近年、キリ
バスの1つの島がなくなってしまった。
キリバスは海に沈むのか
高校生たちは、海面上昇対策が必要であるという主張に賛成するグループと、
反対するグループに分かれて、英語でディベートを開始。キリバス語は一切禁
止だ。
「海面が上昇しても、同時にキリバスも浮いていくから心配ない」と主張する
反対派に対し、「キリバスはひょっこりひょうたん島ではない」と賛成派が応
戦。これに対し反対派は、英科学誌「ニュー・サイエンティスト」に掲載され
た論文を引用。「珊瑚は生きており、島の面積は拡大を続けている。航空写真
による調査でも、太平洋諸島の27島のうち、過去60年で表面積が縮小している
のは4島のみで、23島は面積が拡大している。海面は12センチも上昇しているに
もかかわらずである。」との主張を展開。
その後も議論は白熱し、会場は熱い熱気に包まれた。


○日本レストラン再開
フィッシュライス
いまや、キリバスを代表する料理となったフィッシュライス。そのフィッシュ
ライスの専門店Tiaban's Restaurant (Tiabanはキリバス語で日本)が、長期休
業を経て営業を再開した。
Tiaban's Restaurant
Tiaban's Restaurant 店内

メニューはフィッシュライスのみ。飲み物はポットのミロのみ。究極の押し付
け商売である。
メニュー

フィッシュライスを提供する店は他にもあるが、やはりここの頑固爺さんが作
るものが一番だと、わざわざ悪路はるばる遠方からジェットコースターに乗っ
て来る客も多い。店主でシェフのTiaban氏によると、今後も気分に応じて不定
期営業を続けるので、営業日は風の便りを聞いて欲しいとのことだ。


○キリバスダンス大会
先々日の土曜、団体別キリバスダンス大会が、首都の集会所にて開催された。
優勝は、カトリック教会チーム。昨年優勝したクリスマス島チームは、3位に
終わった。優勝チームの主将ナボウア氏によると、「今年はチームの結束力が
違った。定職に就いている者は皆に米を与え、働いていない者は率先して皆に
ダンスを教えていた。こんなに感動したことはない。」と涙ながらに語った。
キリバスダンス大会



3年B組 金理八先生 12013年05月01日

3年B組 金理八先生
第一話 〜はじまりは光〜


ここ、桜病院3Bを立て直すべく、坂本金理八が赴任してきた。

桜病院

前の教員が去ってから、1年のブランクが経っている。

一体、どんな生徒たちが待っているのだろう。
前任の教員から、ある程度のことを聞いてはいるが。

日本の病院とは全く異なる場所であることは間違いない。
覚悟を決めて、金理八は病院の門をくぐった。

しかし、教室に入った金理八が目にしたのは、これまで見たことのない光景だった。

3B

埃まみれの教室には、ゴミやカルテが散乱。医師や看護師たちからはクレームが。そして、授業中に当たり前のようにインスタントラーメンを食べている生徒たち。昼休みにパチンコに出かけたまま、帰ってこない生徒も。仕事をしているのは、一部の生徒だけであった。

「コラァ~ おまえら~」
そんな気持ちを抑えて、金理八は冷静に授業を始めた。

まずは、生徒たちに自分というものを知ってもらわなくては。

「はい、いいですか~。
君たちは今、何か困っていることはないかな?」

「仕事で使うソフトがダサいで~す」
太田光のような生徒(以下、光)が、ラーメンをすすりながら答えた。

「うん、そうか。今は、どんなものを使っているんだい。」

光は、キリバス人らしい人懐っこさて、丁寧に教えてくれた。

「よし、分かった。どーもありがとう。」


次の日、コンピューターに向かってプログラミングをしたり、命令を実行している金理八の姿があった。その片隅には、4年前の初代教員が残していってくれた資料が置かれていた。

そして赴任3日目。金理八は、授業に来るとこう言った。

「はーい、注目~。
今日は、先生が作った新しいシステムをみなさんにお見せします。」

最初に食いついてきたのは、光だった。
「先生、ちょっと使わせて。」

パソコンのことが少し分かる光は、使いながら操作方法を把握し、興奮がちに他の生徒達にも説明を始めた。

「先生、これ、今日から使えるの?」

「いや、まだまだ。
ほーら、みんな席について。」

金理八は、黒板に『ソフトウェア』と書き始めた。

「ソフトウェアの『ウェア』はだね、『物』という意味の他に、『器』という意味もあるんだ。
だから、食事を盛るのにちょうどいい大きさである必要があるし、毎日洗わなくてはいけない。
このソフトは、みんなが使うには、まだ少し小さい。
それに、君たちは、このソフトをメンテナンスできるかい?
だから、どんな機能が必要か先生にもっと教えて欲しい。
そして、先生がメンテナンスの仕方を教えてあげるから、それを学んで、君たち自身でメンテナンスできるようになって欲しいんだ。
いいかい。」

光「先生、僕にも教えてくれるの?」

「もちろん」

その日から、光への個別授業が始まった。

そして金理八は、このソフトが問題なく業務で使えるよう、さらに機能追加を行った。現在使っているデータも、新しいソフトに移した。

そして3ヶ月後、日本と同じ品質とサービスで、実運用をスタートさせたのだった。

生徒達は、お祝いのパーティーまで開いてくれ、この新しいソフトが使えることを喜んでくれた。

運用開始から半年経った現在も、日々、改良を加えながら、このシステムは活用されている。

こうして、金理八の3Bでの活動は始まったのであった。

吾輩は猫である2013年02月02日

吾輩は(キリバス)猫である。
名前はまだ無い。
どこで生れたかとんと見当がつかぬ。
何でも日差しが強烈で埃っぽい所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。
吾輩

吾輩は、生まれてまもなく重度の風邪をひき、必死の思いで病院に来た。
しかし、人間どもには無視されるばかり。
目ヤニと鼻水で、目が見えなくて息もできない。
ここで死ぬのかと覚悟したら、何やら日本人が吾輩をひょいと抱き上げて、苦いモノを無理矢理飲ましたり、目に変なモノを入れたりする。ふざけんなよと思ったが、不思議と病気は治った。
そんなわけで、吾輩はここに居着くことになったのだ。

この日本人、一日に何度か病院の中をうろつき、病気の人間や、彼らを治療をしている人間達の動きをチェックしている。何が面白いのだろう。しかし、コンピューターを使うことだけが、この人の仕事ではないようだ。
Emergency

ある日、吾輩が昼寝をしていると、うるさい音を鳴らした車がやってきた。
中から、人間の小さい女の子が担ぎ出されている。よく見ると、頭が割れて大量の血を流し、脳が完全に外に出ている。
あまりに無残な光景だ。
人間の言葉はよく分からないが、どうやらバスという車にはねられたらしい。
間違いなく即死だったろう。

すると、近くを歩いていたこの日本人が呼ばれ、なにやら写真というものを撮っている。
どうも、この国では、カメラという物や、印刷機という物を持っている人間は限られているようだ。
そして、この日本人、写真を印刷して戻ってくると、それをPoliceという人間に渡していた。

少女のすぐ脇では、母親らしき人間が、泣き叫んでいる。
でもさ、あんたが悪いんだぜ。
子供に注意を払っていないから。子供の躾をしていないから。
子供が7人もいるからだなんて、ただの言い訳だよ。

ここの空はこんなに青くて、日差しが強いのに。
吾輩の心は、しばらくスコールが続いたのだった。