ワールドビジネスサテライトinキリバス1/32013年11月20日

■トップニュース
○キリバスは海に沈むのか?
キリバスの高校生達による英語ディベート大会が国会議事堂で開催された。
ディベート会場(国会議事堂)
テーマは地球温暖化。キリバスは、珊瑚礁で形成された32の環礁島から構成さ
れている。海抜は低く、標高は1-2m程。ツバルやモルディブと同様、温暖化に
よる海面上昇で、将来海に沈んでしまうと危惧されている。実際、近年、キリ
バスの1つの島がなくなってしまった。
キリバスは海に沈むのか
高校生たちは、海面上昇対策が必要であるという主張に賛成するグループと、
反対するグループに分かれて、英語でディベートを開始。キリバス語は一切禁
止だ。
「海面が上昇しても、同時にキリバスも浮いていくから心配ない」と主張する
反対派に対し、「キリバスはひょっこりひょうたん島ではない」と賛成派が応
戦。これに対し反対派は、英科学誌「ニュー・サイエンティスト」に掲載され
た論文を引用。「珊瑚は生きており、島の面積は拡大を続けている。航空写真
による調査でも、太平洋諸島の27島のうち、過去60年で表面積が縮小している
のは4島のみで、23島は面積が拡大している。海面は12センチも上昇しているに
もかかわらずである。」との主張を展開。
その後も議論は白熱し、会場は熱い熱気に包まれた。


○日本レストラン再開
フィッシュライス
いまや、キリバスを代表する料理となったフィッシュライス。そのフィッシュ
ライスの専門店Tiaban's Restaurant (Tiabanはキリバス語で日本)が、長期休
業を経て営業を再開した。
Tiaban's Restaurant
Tiaban's Restaurant 店内

メニューはフィッシュライスのみ。飲み物はポットのミロのみ。究極の押し付
け商売である。
メニュー

フィッシュライスを提供する店は他にもあるが、やはりここの頑固爺さんが作
るものが一番だと、わざわざ悪路はるばる遠方からジェットコースターに乗っ
て来る客も多い。店主でシェフのTiaban氏によると、今後も気分に応じて不定
期営業を続けるので、営業日は風の便りを聞いて欲しいとのことだ。


○キリバスダンス大会
先々日の土曜、団体別キリバスダンス大会が、首都の集会所にて開催された。
優勝は、カトリック教会チーム。昨年優勝したクリスマス島チームは、3位に
終わった。優勝チームの主将ナボウア氏によると、「今年はチームの結束力が
違った。定職に就いている者は皆に米を与え、働いていない者は率先して皆に
ダンスを教えていた。こんなに感動したことはない。」と涙ながらに語った。
キリバスダンス大会



ワールドビジネスサテライトinキリバス2/32013年11月20日

■技あり! ニッポンの底力
キリバスの首都バイリキと、商都ベシオを結ぶ一本の道、コーズウェイ。
全長3.4km。道の両サイドは見渡す限りの海だ。この道路は、とある日本企業に
よって、1987年に建設された。
ニッポンコーズウェイ
道ができる以前は、干潮時にできる砂浜を歩いて人が行き来していた。物資の
輸送はボート。流通や人の往来にとって、大きな障害となっていた。 「これを何とかしたい」 キリバス政府は、オーストラリアにコーズウェイの建設を依頼。資金はアジア
開発銀行。工事は順調に進んだ。しかし、半分まで工事が進んだある日の朝、
工事現場に到着した作業員はみな、唖然とした。 現場に何もない。そう、潮の影響で、全てが流されてしまったのだ。 やむなく、オーストラリア業者は撤退。 そこで白羽の矢が立ったのが日本だった。建設を請け負ったのは大日本土木(株)。
日本政府の無償資金援助によって進められた。 しかし、日本もご多分にもれず、半分まで建設が進んだある日の朝、全てが流
されてしまうというアクシデントに見舞われた。皆が絶望のどん底に落とされた。 だが、ここからが日本の企業は違った。 諦めることなく、振り出しから工事を再開。遅れた工期を取り戻すため、24時
間体制で、潮の干満に合わせて作業を行った。 その結果、見事、納期通りに、日本と同じ品質でコーズウェイを完成させたので
あった。 キリバスの人たちは、長年の夢を実現させてくれた彼らに敬意を表し、この道
を「ニッポンコーズウェイ」と呼ぶようになった。 大日本土木(株)さんは、この実績を買われ、その後も、中央病院や国会議事堂
などの建設を受注。今では、「ダイニッポン」の名を、キリバスで知らない人
はいない。 そして現在、首都の港に大型船が直接停泊できるよう、港の拡張工事を行って
いる。日本からの大型無償資金援助である。
港湾拡張工事現場
現在、大型船は沖合に停泊し、物資を小型ボートに積み替え、ピストン輸送で
港に運んでいる。このため、輸送に4-5日かかっている。これは、食料を始め、
ほぼ全ての物資を輸入に頼っているキリバスにとって、大問題である。 完成予定は2014年春。国民の期待は高い。